今年は早くから暑くなりそうです。昨年の夏は、「記録的な危険な暑さ」「経験したことのない暑さ」など、ニュースで命に関わる暑さの注意を何度も耳にし、私たちの夏の常識が通用しなくなってきたことを体感しました。
「めぐろスマートライフ」では、都市に住む私たちが快適に過ごすためにはなにをすべきなのか?東京工業大学神田研究室で都市の温暖化を研究する石橋耀二さんにレポートをお願いしました。
【温熱感覚(人が「暑い」または「寒い」と感じる感覚)を規定する6つの要素】
人が温熱的に快適と感じるちょうどいい暑くも寒くもない状態を温熱環境といいます。
温熱環境は、気温、熱放射、風(気流)、湿度、代謝量、着衣量の6要素によって規定されるといわれています。
- 気温 : 日中では一般的に地表面付近で温度が高く、数10cmの高さからはほぼ同じような気温になります。地表面の材質にもよりますが、子どもやペットなどはより地面に近いところに体があるためより暑く感じているかもしれないので、注意が必要です。
- 熱放射 : 周囲に温度の高いものがあったり、太陽光に直接当たったりするとそれだけで暑く感じられます。
- 風(気流):風速が速いと体の表面から空気へ熱が移りやすくなり、涼しく感じられるようになります。
- 湿度 : 湿度が高いと汗が蒸発できなくなり、不快に感じます。
- 代謝量 : 動けば動いた分だけ暑く感じられるようになります。
- 着衣量 : 衣服の量のことです。着込めばその分自分の体温を外に逃がさないことになります。
温熱環境を規定する6要素
出典:環境省, “環境省熱中症予防情報サイト,” 3 2018. [オンライン]. Available:http://www.wbgt.env.go.jp/pdf/city_gline/city_guideline_full.pdf
【具体的な対策】
快適に過ごすための行動の具体例・注意点など、以下のようなものが挙げられます。
日光・照り返しからできるだけ避ける
日陰を歩いたり、日傘を使いましょう。
地面に近いところは暑い
地面は日光が当たると非常に温度が上がり、地面に近いところでは、特に暑くなります。ベビーカーの底面に断熱材を入れたり、犬の散歩の時間を路面の暑くない朝にしたりすることなどが必要です。
カーテンを閉めて外出する
日中カーテンを開けて外出すると、帰ってきたときに部屋が蒸し風呂のようになっていることはありませんか?帰宅したら、一度窓を開け、部屋の中の空気を外の涼しい空気に入れ替えましょう。換気扇などを利用してもいいですが、ない場合には扇風機を窓の外へ向けて動かしても効果があります。
除湿を適切に利用する
室内がじめじめして高温のときは、除湿をするとエアコンの冷房機能をより効率的に働かせることができます。
ここに挙げたものはほんの一例です。こんな方法も有効なのではないか、この方が環境にやさしいのではないかなど、いろんな意見をシェアすることができたらいいと思います。
東京工業大学 神田研究室 修士2年 石橋耀二