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身近な生活の中にも生物多様性①

近頃、生物多様性が大切だ、大切だ、・・・とよく耳にしますが、

さて、そもそも生物多様性とはどのようなことでしょうか?

 

私たち人間も含む生き物は他の生き物と関わり、支えあい、つながることで、初めて生きていくことができます。個性豊かな多くの種類の生き物の存在とそのつながりが「生物多様性」といえます。水や空気はもちろん、食べる物や着る物の材料、木材や薬の原料など、「生物多様性」が保たれているからこそ得られる恵みのおかげで私たちは生きているのです。

「生物多様性」には生態系、種、遺伝子の3つのレベルの多様性があるとされています。

 

私たちの身近なくらしの中で、生き物とのつながりを感じることが大切です。

そこで、「生物多様性」の大切さを理解するために、「生態系」、「種」、「遺伝子」の3つのレベルの多様性について身近な例をとりあげ、クイズ形式で楽しめるようにしました。第1回は「生態系の多様性」についてのクイズです。

「生態系の多様性」クイズ

里山の風景

数千の島々からなり南北約3,000kmにも及ぶ日本の国土には、いろいろなタイプの生態系がそれぞれの地域に形成されています。

さて、次の「生態系の多様性」についての問1から問3の説明で、それぞれ正しいか誤っているか、もし誤っているならばどこが誤っているか考えてみましょう。

問1 

里山には、雑木林と、それに隣接する水田、ため池、草地などからなる複合的な生態系がある。カエルやトンボの幼虫の時期であるオタマジャクシやヤゴは、田んぼや池で暮らしたあと、水辺を離れた森林や草地で暮らす種が多い。

 

問2 

サンゴ礁は海の熱帯林に例えられる植物で、それ自体光合成をすることで栄養を得ている。海水温が高い地域ほど活発に発達する。

 

問3 

トキにとって水田は、水中昆虫、ドジョウ、甲殻類などエサの採りやすい場である。佐渡島のトキの野生復帰は、生態系の再生の取り組みでもある。

解答と解説

答1(正しい)

里山の生物多様性が高い理由として、個々の生態系には別の生物種がいるのでトータルとして種数が多くなる。また複数の生態系がないと暮らしていけない生物が多くすみついているからである。 

 

答2(誤り) ※赤字が正しい

サンゴ礁は、ポリプと呼ばれる動物の個体が集合体を形成している。サンゴ礁の体内に共生する褐虫藻(かっちゅうそう)という藻類が光合成することで栄養を得ている。しかし海水温が上昇すると、褐虫藻は高温に耐えられないためサンゴ体内から抜け出し、サンゴは栄養が十分に確保できなくなり死滅してしまう(白化減少)。

 

答3(正しい)

トキは江戸時代までどこにでもいた。明治以降の乱獲もあったが、トキのエサ環境の劣化―コンクリートの水路、土地改良による乾田化(イネが植わっている時期以外は田んぼを乾かす)などが原因と考えられている。佐渡島ではトキの野生復帰に向け、ビオトープなど餌場の整備や、環境保全型農業、里山保全など、地元住民や行政などが一体となって取り組みが行われている。これは、多くの種類の生き物がつながってこそ生きていける生態系の再生への取り組みである。

 

次回は「種の多様性」クイズです。おたのしみに!


参考出典:宮下 直「生物多様性のしくみを解く」工作舎・宮下 直「となりの生物多様性」工作舎・生物多様性政策研究会編「生物多様性キーワード事典」中央法規/環境省生物多様性ウェブサイト http://www.biodic.go.jp/biodiversity/index.html