日本は「2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする。脱炭素社会の実現を目指す」という目標を掲げています。私たちの生活に関連して排出される温室効果ガス排出量〈カーボンフットプリント〉(※1)は全体の約6割を占めます。では私たち一人ひとりには何ができるでしょうか。
(※1)【カーボンフットプリント】 商品やサービスの原材料の調達から生産、流通、廃棄・リサイクルに至るまでの全体を通して排出されるCO2などの温室効果ガスの排出量。 いろいろな種類の温室効果ガスをCO2換算した数値【CO2e】(CO2 equivalent)で表す
日本のカーボンフットプリント内訳(2015年)
『脱炭素型ライフスタイルの選択肢 カーボンフットプリント と 削減効果 データブック』(以下データブック)には、国立環境研究所と地球環境戦略研究機関らのチームによる研究成果に基づき、日本の各地域におけるライフスタイルに関連するカーボンフットプリントと、脱炭素型ライフスタイルの選択肢とその削減効果が示されています。
国際ルールである「パリ協定」(2015年)で合意された世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃未満に抑えるために、このデータブックでは2030年には1人1年間に排出するカーボンフットプリントを、3,000 kgCO2e(※2)まで削減することを目標にしています。
データブックは、脱炭素社会の実現に向け、一人ひとりがどのような生活を送れば良いのかを考える、ひとつのヒントになりそうです。
データブックの「脱炭素型ライフスタイル選択肢」には、各地域における住居・移動・食・消費財・レジャーの分野の57の脱炭素型ライフスタイルの選択肢と最大削減効果(㎏CO2e)が掲載されています。これからの生活の中でどの選択肢を選べばどれくらい達成するのか、東京都区部のデータを例に考えてみましょう。
東京都区部在住A氏 42歳の脱炭素型ライフスタイル・シミュレーション
A氏は「脱炭素型ライフスタイル」とはどんなスタイルかを知るために、データブックをもとにあれこれ考えてみました。選んだ選択肢に達成率を入力できるExcelファイルを作成して、いろいろ入力してみると・・・。その結果はどうだったでしょうか。
注・補足
(※1)【カーボンフットプリント】 商品やサービスの原材料の調達から生産、流通、廃棄・リサイクルに至るまでの全体を通して排出されるCO2などの温室効果ガスの排出量。 いろいろな種類の温室効果ガスをCO2換算した数値【CO2e】(CO2 equivalent)で表す
(※2)地球温暖化を1.5℃未満に抑えるためには、世界全体で2030年には1人1年間に排出するカーボンフットプリントを2,500~3,200 kgCO2eに削減することが必要。小出瑠・小嶋公史・渡部厚志(2020)「1.5℃ライフスタイル ― 脱炭素型の暮らしを実現する選択肢 ― 日本語要約版」(地球環境戦略研究機関)。https://www.iges.or.jp/en/pub/15-lifestyles/ja
出展
●Ryu Koide, Satoshi Kojima, Keisuke Nansai, Michael Lettenmeier, Kenji Asakawa, Chen Liu, Shinsuke Murakami (2021) Exploring Carbon Footprint Reduction Pathways through Urban Lifestyle Changes: A Practical Approach Applied to Japanese Cities. Environmental Research Letters. 16 084001