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繕いものは思い出も繕う 

実践わたし流!! 投稿者:わたこ

衣類を整理していたら、あっちこっち虫食いだらけのカーディガンが出てきました。

カシミヤ100%! 衣類を食べる害虫は特にカシミヤ好きとは知っていましたが、このところ押し入れの隅に放置していたことを悔やむばかり。

でも、たくさんの小さな穴を見ていたら、これを買った時のことや場所が頭に浮かび、このまま着ないで破棄しては思い出まで捨ててしまうことになると思い直しました。

 

買ったのは25年あまり前のドイツ、フライブルグ市。ちょうどそのころ「環境先進都市」として、日本でも知られるようになった街です。

その先進性をこの目で見ようと出かけて行った私と7人の仲間たち。

フライブルグは中世からの大学都市で国内でも中規模な街なのに、そこにはこれからの時代、エコロジカルな生き方が何よりも大切だという人々の気概と、それを実践する暮らしが溢れ、驚くことばかりでした。

特に印象深いのは、日本人に会うのは初めてだと大歓迎してくれた郊外の小学校の校長先生。この学校ではカーロという名前のみみずを飼っています。児童が文字を覚える時も“ごみ”について体験学習する時もカーロ(※)が一緒です。

「カーロ、カーロ、みみずのカーロが食べられないものが“ごみ”だよ♪」と歌い、劇まで見せてくれた子どもたちの笑顔……。


懐かしい思いに浸っているうちに思いついたのが、虫食い穴を花に変えてみようということでした。

刺しゅうは全て自己流。穴の大きさに合わせ、布の表裏にしっかりと糸を渡し、穴をふさぐ。これを基本に心の赴くまま手を動かしていたら、ご覧の“お花畑”に仕上がりました。

 

皆さんも、壊れたり破れてしまった物を直してみようとちょっと考える。

ピンチをチャンスに変える楽しみが手仕事にはたくさんありますよ。「手は宝」です。

 

(※)この時の通訳の今泉みね子さんは、後に『みみずのカーロ~シェーファー先生の自然の学校』(合同出版刊)を上梓しています。