欠けた器を漆(うるし)や金粉を使って修復する「金継ぎ」は、今、サステナブルな取り組みとして注目を集めています。
我が家の食器棚の奥には、気に入って購入したものの欠けやひびが入ってしまった器が眠っています。その器を再生するため、目黒区内で開催された「かんたん金継ぎ講座」(※)に参加しました。講座に参加した皆さんは、「一目ぼれして買った器」「デートで訪れた陶芸教室で作った器」「親から受け継いだ器」などを持ってきていました。
(※)「かんたん金継ぎ講座」は新漆を使って、小さな欠けやひびを修復するものです。新漆は本物の漆ではなく、合成塗料の一種で、すぐに固まり扱いやすいのが特徴ですが、口や食品が触れる部分は避けて使用するのが望ましいとされています。
そのほか、接着剤、金属用エポキシパテ、耐水性サンドペーパー、漆薄め液、カッター、筆、へら、マスキングテープなどを使用します。
金継ぎで修理した器は、電子レンジや食器洗い機では使用できません。
欠片が残っている器の金継ぎ
欠片がない器の金継ぎ
ひびを枝に見立てて梅の花を描き、オリジナルな作品に
母親から受け継いだ食器を割ってしまったため、欠けらをイヤリングにリメイク
2時間ほどで、金継ぎは完成しました。思いのほか作業は難しくなく、小さな欠けやひびは初心者でもきれいに直すことができました。我が家の器も金継ぎをすることで、既製品にはない表情が生まれました。参加した皆さんも自分で直した器を手に「思い出もリメイクできた」「より愛着が湧いた。大切に使おうと思う」「世界に一つしかない作品になった」など、大切なものを再生することの喜びを感じていました。
ものを直して長く使うことは、ごみを減らし、ものを生産するとき、処分するときにかかるエネルギーの削減にもなります。そんな気づきも、金継ぎをすることで得られました。