目黒区エコプラザでは毎年ゴーヤで緑のカーテンを作っていますが、実際に緑のカーテンでどれだけ涼しさに効果があるのか調べてみました。
そして、植物を利用して涼しく過ごすためのポイントなどを環境カウンセラー室井泰子さんに伺いました。
緑のカーテンの内側と外側の温度を測定
過去の7月の天気の良い日に測定した結果がこちらです。今回はなんと緑のカーテンの外側と内側では12.5℃も差がありました。
緑のカーテンの涼しくなるしくみ
緑のカーテンを窓側に設置した場合、窓からの強い日射を防ぎます。窓だけでなく壁や地面を日陰にすることで輻射熱(地面などが熱をもち再放射すること)を抑えることができます。さらに、植物の蒸散作用(根から吸い上げた水分を葉から蒸発させる)のため周囲の温度を下げることができます。緑のカーテンがよしずや断熱ガラスよりも涼しさ効果を発揮するのはそのためです。
冷房時に、外からの暑さ(熱)の侵入の73%は「窓」等の開口部から入ってくるそうです。緑のカーテンは窓のある所に設置するのが効果的です。(参照:スマートライフ『未来のために、いま選ぼう 第3回「窓」にCOOL CHOICE!』)
環境カウンセラー 室井泰子さんからのアドバイス
住まいが建っている方角や周囲の条件は様々です。緑のカーテンを作る場合、南側だけが最適なのではありません。東の方向に緑のカーテンを作り、朝日を遮ることで外壁が熱くならないようにすると家全体が熱くなる速度を抑えられます。また、近隣の建築物や舗装された道路、駐車場からの輻射熱も思ったより強いので、どこに緑のカーテンを作ると効果的なのか考えてみましょう。
緑のカーテンと合わせて対策しよう
よしずやすだれなどを緑のカーテンの内側にたらすとさらに効果的です。朝夕の涼しい時間帯にする打ち水でも周囲の温度はかなり下がりますので、植物の水やりと同時に周囲に打ち水をするのもよいでしょう。その際に溜めた雨水やふろ水を利用できると節水にもなります。
またベランダにある室外機の熱が上がらないようにカバーをすることで冷房効率を上げることができます。(参照 めぐろスマートライフ 「夏の節電対策① エアコン編」)
環境カウンセラー 室井泰子さんからのアドバイス
マンションのベランダの輻射熱で窓を開けても涼しくないということがあります。ベランダの広さに余裕のある方はサツマイモを育ててみてはいかがでしょう。サツマイモの葉がベランダの床を覆い、熱くなるのを防いでくれます。サツマイモはプランターや布製のバック型プランターなどでも栽培でき、防根設備も不要です。屋上で育てれば、天井が熱くならないので室内温度を抑えることができます。戸建て住宅の場合はできるだけ土の部分を残すことです。土からの蒸散作用も期待できます。また、室内用の観葉植物も目に涼しく、多少の日差しも防いでくれるので窓側においてみてはいかがでしょう。カポックは蒸散作用が高いので冬の室内の乾燥を防いでくれます。風邪対策にも活躍してくれそうですね。
ゴーヤ緑のカーテンの育て方のポイント
【摘心をする】
葉が5枚くらいの時に真ん中の芽を摘みます。初めのつるを「親づる」といい、摘んだら横から延びる「子づる」も真ん中の芽を摘みます。そこから延びる「孫づる」がよく伸びツルが一面に広がるのでグリーンカーテンにはとても大切な作業です。
【水やり】
朝と夕方の比較的涼しい時間にたっぷりとあげるのがポイントです。
打ち水効果で温度も下がります。実際に目黒区エコプラザで6月の晴天の朝8時半に、水やり前と後で周囲の温度を測定したら、なんと13.2℃も下がりました。
【追肥】
たい肥や肥料を2週間おきに追肥します。
ゴーヤ以外にも、ツル性の植物で、アサガオ、インゲン、オカワカメ、ヘチマ、キュウリ、なども緑のカーテンにおすすめです。
果樹ではブドウはツル性で夏には葉が茂って棚の下は涼しく、秋に美しく紅葉し、冬には葉がないので日光を遮らないため便利です。
お子さんと育てることで、植物の成長や、温暖化やエネルギー問題など様々なことを一緒に学べます。緑のカーテンに寄ってくる虫や鳥についても知るきっかけになることでしょう。
緑のカーテンで涼しくなることで、エアコンの使用電力にも差がでてきます。
外気温度31℃の時、エアコン(2.2kW)の冷房設定温度を27℃から28℃にした場合(使用時間:9時間/日)、年間約820円の節約ができ、CO2削減量14.8kgできます。(出典:資源エネルギー庁「家庭の省エネ徹底ガイド」)