目黒区消費生活センターの「おもちゃの病院」を訪ねて話をお聞きしました。この「おもちゃの病院」が開設されたのは昭和52年。以来45年間、ボランティアのドクターに支えられて、子どもたちのおもちゃの治療を続けています。
※修理件数は令和3年度までで29,477件
治療の流れ
1 受付
この日おもちゃを持ち込んだのは小学校2年生の元気な男の子。お気に入りのラジコンカーが動かなくなってしまいました。まずは故障の様子を問診表に記入します。
2 治療開始
ドクターがラジコンカーを診察し、男の子に結果を説明します。ラジコンカーは動力を車輪に伝える歯車が外れていたことと、コントローラーの接触不良が原因で動かなくなっていました。通常は子どもの目の前で診察しますが、現在は感染防止のため預かって別室で診察し、10分後に結果を伝えます。ラジコンカーは入院して修理(治療)を行うことになりました。
3 退院
治療を終えると病院から連絡が入り、その後、退院となります。治療代は原則無料ですが、部品の実費等がかかる場合があります。
修理すること自体が楽しみ。その楽しさがやりがい
おもちゃの病院には12人のドクターが登録していますが、この日は4人のドクターが詰めていました。全員がボランティアです。それどころか、細かいパーツなどは自費で補うこともあるそうです。
「パーツの費用を負担しているという感覚は一切ありませんね。直すこと自体が楽しみですから」
話を聞いたドクターはそう言って笑います。
「おもちゃの病院」は修理工場じゃない!
診療の様子を見学しながら、菊間院長に話を伺いました。強調されたのは「おもちゃの病院」は故障を直すだけの修理工場ではないということでした。
「大事なのは、直すことよりも、おもちゃを介して話をすることです。故障の原因を説明したり、修理方法を話したりすることで、物を大切にしようという気持ちが生まれるからです。また、おもちゃの仕組みや工具について教えることで、好奇心も育てられます。会話がなければこういうことができません」
さらに、子どもたちから寄せられたお礼状も見せていただきました。「おもちゃの病院」は物を大切にする心だけでなく感謝の気持ちも育てているようでした。(了)
【会場】
消費生活センター 目黒区目黒2-4-36(目黒区民センター1階)
☎ 03-3711-1133
【開院時間】
毎週日曜日、午後1時から午後3時 予約不要
※おもちゃの病院のドクターに関心のある方は消費生活センターにお問い合わせください。