街のコーヒー屋さん
都内に4店舗、目黒区内に八雲と中目黒に出店しているONIBUS COFFEE(オニバスコーヒー)。
ONIBUS COFFEEの名前の由来は、ポルトガル語のONIBUS、「公共バス」からきています。バス停からバス停へ、人と人をつなぐ場所でありたい、日常に溶け込んだ一杯を提供したいとの思いから名付けられたそうです。
八雲店は駒沢通りに面しているものの、お店があるのは八雲の住宅街。都立大学の駅から少し離れた場所です。取材に伺った際には、近隣の方が引きも切らさず訪れて、バリスタやスタッフと楽しそうにコミュニケーションを取りながらコーヒーを楽しんでいました。
しかし、ONIBUS COFFEEはおいしいコーヒーとスタイリッシュな雰囲気のお店というだけでなく、実はコーヒーをとおしてエシカルな取組みを大切にしているお店なのです。コーヒーカスを堆肥化し、その堆肥を混ぜた培養土作りをするのもその一つです。
個人店として、出来ることから取り組む
ONIBUS COFFEE代表の坂尾篤史さんにお話を伺いました。
「都内の4店舗分を合わせると大量のコーヒーカスが出ます。それを廃棄物として焼却処分することがずっと気がかりでした。農園で生産者が作ったコーヒー豆を最後まで活かすということで、コーヒーカスを『有機資源』として再利用(アップサイクル)して堆肥化しようと思いました。」
コーヒーカスを堆肥に利用したいと地方から声がかかることもあったそうですが、輸送コストや環境負荷を考えると東京近郊で循環させたい思いが強かったそうです。
「昨年から三鷹市にある鴨志田農園でコーヒーカスに落ち葉や籾殻などを混ぜ、発酵、熟成させて堆肥化し、土などと混ぜて作っているのが培養土『COFFEE SOIL』です。八雲店、中目黒店とONLINE SHOPで販売しています。」
「コーヒーカスをすべて『COFFEE SOIL』にすることはできませんが、継続していき徐々に量を増やしていきたいと思っています。」
「人と人をつなぐ場所、街のコーヒー屋でありたいと思っています。目黒区内に来春頃に開く新店舗では、自分たちでコンポストを作るスペースを設ける予定です。店でお客さんにコーヒーカスが堆肥化していく様子を見て、循環(サイクル)に興味を持っていただけたら良いと思います。ゆくゆくは、コミュニティ・コンポストを作って地域の方に集ってもらえるようにしたいと考えています。」
目黒で飲まれたコーヒーから出たカスを三鷹で堆肥化しさらに培養土にする。「COFFEE SOIL」としてまた目黒に還ってくる。東京の中で廃棄物を削減しアップサイクルする循環の輪が実現しています。
地域と連携して行きたい
「地域と連携していきたい」という坂尾さんの想いは、現在開発中のスマートフォン用アプリにも反映されています。
リユーザブルカップを、飲み物を購入したのとは別の店舗でも返却できるよう地図で店舗の場所を示すアプリを作り、登録した店舗が連携してテイクアウト用の紙カップ、プラスチックカップの廃棄の削減をしていきたいと考えているそうです。ドイツやスイスではすでに同じような仕組みが広く行われているそうです。
日本でもONIBUS COFFEEの店舗から始め、地域を広げ仲間のカフェ(登録店)を増やして行き、カップの循環を実現して廃棄物の削減をして行きたいとのことでした。
おいしいコーヒーを飲むことで、エシカル消費に自然とつながる取組みを行っているONIBUS COFFEEでした。