東急バスが燃料電池バス「SORA」(ソラ)【外部リンク:トヨタ自動車株式会社】を導入して3カ月が経ちました。目黒通りを斬新なデザインで走る姿を見かけた方もいるのではないでしょうか。
東京駅南口から世田谷区の等々力操車所(走行距離約15km)を1時間15分ほどで結ぶ「東98系統(自由ヶ丘線)」で運行しています。(平日、等々力操車所行き2便、東京駅南口行き3便)
「SORA」は水素と空気中の酸素を化学反応させて発電し、その電力でモーターを駆動させる燃料電池FC(Fuel Cell)バス【外部リンク:水素エネルギーナビ】です。走行時に二酸化炭素など環境に負荷を与える物質を排出せず、環境負荷の低減を実現しています。走行中は化学反応でできる水が排出されるだけです。
都立大学駅北口から東京駅南口まで、実際に乗車しました。途中、下校する小学生が大勢乗ってきましたが、「このバスかっこいいね」、「今日は乗ることが出来て良かったね」などと歓声が上がっていました。車内に掲示されている燃料電池バスの仕組みを熱心に見入っている子どもたちもいて、近未来的な外観、従来のバスとは違うスマートな内装の「SORA」は子どもたちに大変な人気でした。
気になる乗り心地ですが、目黒駅手前の急な権之助坂もスイスイと登り、モータードライブだからエンジンの振動や変速ショックがなく音も静かでした。また、内外装ともにユニバーサルデザインを取り入れ乗客にやさしいバスになっています。
東京駅南口から東急バス目黒営業所(清水)に回送して戻る途中、「イワタニ水素ステーション芝公園」で燃料となる水素を充填しました。都内に17か所ある商用水素ステーションのひとつです。「SORA」は600L(約23kg)の水素を充填できますが、今回は半分ほどを約15分かけて充填していました。千葉県にある液化水素工場で、隣接する硝子工場から排出される水素を利用して液化水素を製造し、都内の各水素ステーションに配送しているそうです。
東急バスでは、「最新技術に触れることにより、クリーンエネルギーへの転換という環境面だけではなく、次世代バスの具現化や在り方について引き続き検討していきたい」と考えているそうです。
未来を感じさせる「SORA」が、目黒の街中を縦横無尽に走ることを期待したいですね。
車名の由来:「SORA」(ソラ)
地球の水の循環を表しており、Sky、Ocean、River、Airの頭文字をつなげたもの。
※東急バスでは乗客が安心してバスを利用できるよう、東日本のバス事業者としては初めて「無光触媒」を使用した抗ウィルス・抗菌施工を「SORA」を含む全974車両に行ったそうです。
【取材協力】東急バス株式会社 HP(外部リンク):https://www.tokyubus.co.jp/
岩谷産業株式会社 HP(外部リンク):http://www.iwatani.co.jp/jpn/