規格外の食材を救いたい
おいしいスープやカレーで人気のSoup Stock Tokyoは、目黒区では中目黒と自由が丘に、全国では60店舗以上を展開しています。Soup Stock Tokyoでは、いろいろな食材を煮込むことで味に深みが増すスープの特性を生かし、規格外の野菜や果物、廃棄予定だった海老の頭などを活用する取り組みをしています。
バイヤーの松尾琴美さんは、全国の生産者を訪ねて食材を調達しています。産地では規格外で行き場を失った食材に出会うことも少なくありません。
「例えばカレーに使用している無花果は、規格外のものです。無花果は果肉が柔らかく、木で完熟したものは傷がつきやすく日持ちがしないため、市場に出すのが難しいそうです。そのため、一番おいしい状態にも関わらず捨てられていました。それがすごく悔しくて。『うちで使います』と商品開発をして、完熟無花果をスパイスと煮込んでチャツネにし、キーマカレーに使用しました」
おいしいものを食べ続けられる未来のために
2021年から未利用魚をつみれにして煮込んだ「長崎県五島産すり身団子のスープカレー」を提供しています。未利用魚は、規格サイズに満たないものや傷ついているなどで廃棄されてしまう魚の総称です。1990年代以降、日本の漁獲量は減り続ける一方で、食卓に上ることなく捨てられてしまうのはもったいない話です。
「五島産の未利用魚の中には藻食魚(海藻を食べる魚※)も含まれています。藻食魚が増えると海藻が減って海の豊かさが失われます。それを防ぐために藻食魚を取って数を減らす取り組みが地元でも行われています。ですが藻食魚には独特の磯臭さがあるため、処理に手間がかかることに加え、年によって取れる魚の量や種類が違います。すり身団子は3種類くらいの魚をブレンドしているのですが、魚の種類が変わればレシピを修正しなければなりません。そのため、2022年は『今年の未利用魚のつみれは、去年とブレンドが違います』とお伝えしていました」
規格外の食材を使用したスープは、期間限定のもの、通年提供しているものがあり、商品名や開発ストーリーはHPで紹介されています。アップサイクルされたスープを食べて体が温まると、「もったいない食材を大切に食べることが、おいしいものを食べ続けられる未来につながる」というスープに込められたメッセージが心に響いてきます。
※ アイゴ、イスズミ、ニザダイなど
Soup Stock Tokyo
https://www.soup-stock-tokyo.com/
素材の味を生かしたさまざまなスープを販売しています。 「もったいない食材」や「未利用魚」を使ったスープの販売はHPでご確認ください。
https://www.soup-stock-tokyo.com/sustainable/
特設サイトでは、サステナブルな取り組みについて紹介されています。