東京都建築士会目黒支部が開催する「家族で学ぶ、省エネ住宅づくりの豆知識」に参加しました。こちらは、ちょっとした工夫や簡単なリフォームでCO₂を削減できる省エネ住宅について学ぶ講座です。
2025年4月以降に着工する建築物には「省エネ基準」への適合が義務付けられます。カーボンニュートラル(※1)がより強く意識されるようになるのです。
もともと日本では、建物の省エネ基準が先進国の中でも低い水準にあり、それも義務ではなく努力目標程度でしたが、ようやく世界基準に追い付こうという流れになったのです。
この機会に、今の私たちの住まいでも、省エネを達成していくための方法を知るのが今回の教室の狙いです。
講座では、省エネの豆知識がクイズ形式で紹介されました。
(※1)気候危機を回避するため、温室効果ガスの排出を全体としてゼロに抑えること
クイズ1
最初はシャワーで使われるエネルギ-の問題です。
シャワーのお湯を作るのに必要なエネルギーはテレビ何台を同時につけるのと同じでしょうか?
正解は「約300台分」(※2)です。
対策は、まず何よりもお湯を流しっぱなしにしない習慣を身に付けるとつけること。それと同時に「節水・節湯シャワーヘッド」や「水優先吐水タイプ水栓」(※3)など、お湯を節約する機器の使用も効果的と紹介されました。
(※2)シャワーで使用するお湯の量を毎分10ℓ、約15℃の水を40℃まで温めて使用する場合のエネルギーをテレビの消費電力に換算。(参考:ひのでやエコライフ研究所)
(※3)無駄にお湯を出さない構造の水栓
クイズ2
次は家の中で一番熱が逃げる場所を問う問題です。
正解は「窓・開口部」です。
夏は73%、冬は58%の熱が窓から逃げているそうです。効果的な対策としては、ペアガラス以上のサッシへの交換、内窓(二重窓)の取り付け、真空ガラスへの交換があります。これらは、戸建てだけでなくマンションなどでも実施しやすいリフォームです。断熱は省エネの基本です。
クイズ3
換気の問題です。いくら断熱していてもシックハウスや湿気・カビの問題もあり、住まいには換気が必要です。
正解は「0.5回/時」です。
換気によって熱(冷気)が失われるわけですから、省エネのためには、このロスを最小限に防ぐ必要があります。
一つの対策として「熱交換換気システム」(※4)を使う方法がありますが、通常の通風換気でも、風の入口と出口を作ることやウインドキャッチ構造(※5)の窓に変えることなどで効率のよい換気ができるそうです。
(※4)換気をする時に外気の温度を室内の温度に近い状態に熱交換して空気を入れ替えるシステム
(※5)換気効率の優れた窓
講座では実際の断熱方法についての理解をより深めるために、各種窓ガラスの断熱性能を体感する実験を行ったり、色々な断熱資材の実物に触れたりしました。「家族で学ぶ」という趣旨から、誰にでも分かりやすい内容でありながら、住宅の省エネ化の方法について理解を深めることができた講座でした。
特に窓などの簡単なリフォームや水回りの工夫等を組み合わせることで、新しい省エネ基準への適合も可能になるというお話は、今後の暮らしの中での実践につながると感じました。